前回の多田オ-ディオ語録は「良い音」について書きましたので、その「良い音」についての続きです。
良い音を目指して、メ-カ-はどのような努力をしてきなのか、その努力に欠かせないのが生演奏を聴いて耳を良い音楽が分かる耳を持たなければならない、という事を記事にしたいと思います。
話は1960年代中盤以前に遡ります。
時は、オ-ディオブ-ム前夜の黎明期となります。
①DENON
戦後、国内で順調に業務用音響機器で業績を伸ばしていたDENON(電気録音製作所)ですが、テ-プレコ-ダ-部門ではさっぱり売れなかったそうです。
放送局などで、売り込みのデモンストレ-ションをすると、その場でテ-プレコ-ダ-の録音と再生を実施するのですが、明らかに海外の製品の方が良い音がするので、全然売れなかったそうです。
それで海外製の海外のテ-プレコ-ダ-を研究し、ユ-ザ-と意見を交わしてたどり着いた結論は「 製造機器の部品(トランジスタ、真空管、コンデンサ、抵抗、トランス等々)の定数や製造元を聴きながら、良い音になるように選定 」するということでした。
勿論、スイ-プチェックや周波数特性なども高次元でバランスさせながらの作業になります。
良い音とは、1960年代当時では、まだエレキギタ-がブ-ムになっていないので、生演奏の楽器を主に扱っていたと思います。
そして、この計測機械で計れない「 良い音 」を聞き分けるために、耳を訓練しなければなりませんでした。
②ONKYO
ONKYOでは、技術者の耳を良い音楽が分かる耳にする為に、社長が率先して技術者を有名な演奏家のクラッシクコンサ-トを生で聴く機会を与えてました。
その為にはヨ-ロッパにクラッシクコンサ-トを聴きに行くこともあったようです。
ウワサではonkyoの社長もチェロを演奏できたとか。
これらメ-カ-の努力が1960年代から始まるオ-ディオブ-ムに繋がります。
③海外メ-カ-など
海外メ-カ-でも、耳を鍛える。又は普段から良い音楽に親しんでいる人が製品の音決めに携わっている事を多田社長は話していました。
インフィティ 創業グル-プの副社長さんが、元NASAの技術屋さんであり、クラリネットのハイアマチュアであったそうです。
QUADの初代、2代目社長は生家の地元でアマチュア楽団員でありました。
TANOYでは、技術者が夜な夜なコンサ-トを聴きに行き、翌朝すぐに昨晩のコンサ-トの音を忘れないうちに改良を試したそうです。
この事から、オ-ディオと生演奏を沢山聴いて良い音に親しむ事が重要である事を多田社長は繰り返し話していました。
お店に来たお客さんで、どのような機器を購入しているか悩んんでいるお客さんに、例えば、予算が50万円あるならば、5万円を良い生演奏のコンサ-トを聞いて耳を鍛える事に使ってからの方が,機械を選びやすいと勧めてました。
< 注意 >
・・・有名な音楽家と、良い音楽を奏でられる音楽家とは違う場合があり注意が必要です。
超有名どころの音楽家としては、声楽では鮫島有美子さん、バイオリンでは天満敦子さんの名前を教えてもらいました。
このあたりは、オ-ディオファン同士の会話でも異なる場合があるので注意が必要です。
皆様、オ-ディオを楽しみましょう!!
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