大須界隈のオ-ディオ店のネタを仕入れたので記事にします。(^^ゞ
今回は昭和50年(1970年代)くらいにさかのぼります。このころのオーディオ店は、新品を売るか、下取り品を中古として販売するのが普通でした。
なんせ仕入れれば売れる時代だったそうです。中古品でも清掃とチェックのみのメンテナンス内容で販売できるくらい上玉が流れていたそうです。
その後、昭和50年台後半(1980年代)に大須界隈でスピ-カ-のコンデンサを変えると音が良くなると噂になり、流行しました。
(東京の秋葉原界隈でどうだったかは不明)
その中で、シーメンスの積層コンデンサの評判が良かったそうです。この時代、なんかの電子工作記事で積層コンデンサを使った記事を見かけたことがあります。全国的な流行りだったのかもしれません。
そのスピーカーチュ-ンナップが話題になっている人たちの中で、今度は「ケーブルを変えると音が良くなる」という事が話題に登るようになったそうです。
そして昭和60年頃(1980年代)に日立電線がLC-OFC ( 線形結晶無酸素銅 )を商品化して評判が高まります。
その後、昭和61年 (1986年 )に古河電気がPC-OCC ( 単結晶状高純度無酸素銅 )を開発します。
その後の生産としては、PC-OCCの大きな製造元としては古河電気工業と住友金属工業が生産してました。
古河電気工業も住友金属工業も、大手オ-ディオメ-カ-にこのPC-OCCを売り込みましたが、全然反応が無く、反応があったのがイヤ-スピ-カ-で有名なSTAX(昭和光音工業株式会社)だけだったそうです。
写真のSTAXのイヤ-スピ-カ-のケ-ブルもPC-OCC使用。このケ-ブルを使用した延長コ-ドもありました(^^ゞ
そして、大須の多田オ-ディオにも問い合わせが回ってきたそうです。
又、古河電気工業も住友金属工業も、電気的なスペックと実験のデータは自社で蓄積していましたが、耳で聞いた評価というものに関しては多田オ-ディオなどの販売店からのフィードバックも製品に反映させていたようです。
そこで、多田オ-ディオでも試聴を繰り返し、その結論を2社にフィードバックしています。大雑把には以下の通りです。
◎ 解像度感はLC-OFCや銀線の方があるが、音色の
変化が乏しくなる。
◎ 力学的なストレスで音が悪くなる。
・焼きなましや、工程での折り曲げも音が悪くなる。
・被服処理での熱ストレスも音が悪くなる。
という結果を踏まえ、多田オ-ディオではPC-OCCのアズキャスト(鋳放し状態)でスピ-カ-ケ-ブル、RCAコ-ド(ピンコ-ド)用線材を取り扱ってきました。
線材の直径も、1.2mm(1.5mm?)アズキャスト、0.9mm(たぶんアズキャストでないもの)、0.6mm(ふつうの単線)と各種あったようです。
これはピンケ-ブル、コイル、内部配線材などの使用目的の違いを想定していたようです。
多田オ-ディオというお店はオ-ディオ店というより、バイクや車のプロ・ショップに近いお店な気がしてきました(^^ゞ
PC-OCCを使用したピンコ-ドの使用例です。ガラス繊維チュ-ブにPC-OCCケ-ブルを通して熱収縮チュ-ブで仕上げてます。熱収縮チュ-ブもガラス繊維チュ-ブも今では手に入り辛くなりました(^^ゞ
その後、オ-ディオテクニカ等、オーディオメ-カ-が重い腰を上げて1980年代後半にPC-OCC製品が出てきます。
写真は手元に残るオ-ディオテクニカのPC-OCCを使用したレコ-ドカ-トリッジ用ワイヤ-。大須第一アメ横ビル野村無線で10年くらい前に入手したもの。
写真はオーディオテクニカ製CDなどデジタル製品のコアキシャルケ-ブル。15年くらい前に大須第一アメ横ビルの野村無線にて入手したものです。
PC-OCCケ-ブルにも欠点はあります。
PC-OCCのアズキャストケ-ブルは、音が良いのですが、単線で焼きなましをしていないので固く、折り曲げを多くすると音が悪くなったり、単線なので切れてしまいます。
又、微妙に方向性はあるようです。
メーカ-としては音質が変わる事を覚悟で、より取扱い易く焼きなまししたPC-OCC-Aが製品化されていたくらいですので、取扱い易さは重要ですね。
また、値段もそこそこ(単線で3000円/mくらい)します。
取扱いには注意が必要ですが、このPC-OCCアズキャストケーブルが一番音に色付けが無く、音色の変化を出してくれます。
古河電気工業のアズキャストケ-ブルは最終的に被覆をしない製品で流通しました。この大須界隈では、ゴトウ総合音響がアズキャストに独自の被覆(シース)を施して販売してました。
住友金属工業製のアズキャストケーブルは最終的に、紫外線硬化型の被覆をした製品だったそうです。古河電気工業より早く工場(名古屋新瑞橋のイオンモ-ルはその跡地に建設された)を閉鎖しました。
そして、2013年に古河電気工業がPC-OCCの製造を終了して、この世の中からはPC-OCCの生産は無くなってしまいました。
これを受けて、有限会社STAXもPC-OCCよりOFC + 銀コーティング線に変更されてます。
PC-OCCが良い、LC-OFCが良い、銀線が良い・・・・という話は良く耳にします。が、本当は古河電気工業と住友金属工業の製造するPC-OCCアズキャストだから音が良かったのかもしれません。
カートリッジメ-カ-の光悦も、世界中の銀線を試して、その中で一つしか良いものはなかったとききます。
ただ単にPC-OCCが良い、銅線の純度が良い、銀線の純度が良い・・だけでなく、どこの国のどこの工場での重要なノウハウでなければ、良い音の線材は製造できないのでしょうね。
いまはもう確かめる術はありません。栄枯盛衰・・・残念です。
PC-OCCアズキャストケ-ブルは取扱いに慣れが必要ですが、慣れれば写真の通りに綺麗に並べられます。
というか・・・やっぱり手間なので最初から必要最低限にワイヤリングしなくなるので結果的に綺麗にまとまります(^^ゞ
手間はかかりますが、それでも手放せません。(@_@)
皆さま、自分なりに好きな音楽を楽しみましょう!!
< ネットでの参考価格 >
結局、スピ-カ-ケ-ブルはコレしかオススメできません。PC-OCC系のものであれば、もっと良さそうな気がしますが気軽に買えるものとすればコレがスタンダ-ドでしょう。
ベルデン STUDIO 497 mk2
スタンダ-トという事は、自分のシステムを強化したくてあれこれ試して訳が分からなくなった時に大変お世話になります。
スピ-カ-ケーブルとピンケ-ブルをベルデンに戻してみて、それでも音が戻らなかった場合、アンプ、スピ-カ-、CDプレイヤ-など他の機材に問題があります。
なにかしらの相性でアンプやスピ-カ-の組み合わせが良いという場合も偶然ありますが、自分の求める音はアンプ、スピ-カ-、CDなど機材の音の方向性はそろえた方が満足な音が早く手に入ります(^^ゞ。
なのでHIFI堂さんでもスタンダ-ドとして使用されてます。
BELDEN スピーカーケーブル STUDIO497Mk2 (切り売り 1m単位) 価格:567円 |